第89問 time

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第88問 昔の香り

七月に祖父の一周忌を終えた。 こじんまりとしていた。去年の今頃に、ヘルマン・ヘッセの『知と愛』を必死に読んでいたのを思い出す。同じぐらい湿っぽい夜に、同じような布団に寝ていた。 三十三回忌を経ると、人は輪廻転生が叶うらしい。今から三十ニ年後…

第87問 ボート

昨日見た夢のこと やっと会いたい人に会えていた抱きしめて、その髪を掻き上げたんだ劇場の観客席のような場所で、ひと目も知らず抱きしめあった 場面は飛んで、いつか約束した海に来ていた俺の見知らぬ洞穴を、夕焼けを過ぎて宵の中訪れていた洞穴の中の壁…

第86問 時間が流れる

近頃は時間が流れるのを待ってほしいと思う瞬間と、さっさと過ぎ去ってほしいと思う瞬間で、まだらに時間への思いが心を埋めている。 今日の昼は本当にいい天気だった。聴く音楽全てが美しい音楽に思えて、生きているのが素晴らしいようなそんな気持ちになる…

第85問 2020年6月のお気に入りの自文拙文

自分が最近友達にあてて書いたお気に入りの文章。 1. ルッキズムと私達 個人的な意見だけど、見た目の美しさは人間の内面の美しさと結びつく時こそがその価値を最も発揮するわけであって、心が腐った外面の美しさは悲しいかな、心の汚さを煌々と照らし出して…

第84問 優しさは連鎖して

週に一回する電話は今日はなかった。 朝からずっと泣き続けていた自分としては、今日一日は一人の時間にしたかったから、それでよかった。物思いにふけりたかった。 その友達も今夜は、誰かのそばでその人の涙を拭いているらしい。 優しさは伝播して広がって…

第83問 幸せなのを確かめて

一 君が俺を呼んだけど 幸せだって言われたら、自分の幸せに気づくしかないじゃないか 自分がどれほど幸せか知ったら、君が幸せなことが嬉しいだけじゃないか でもどうしてこんなに悲しいの 一緒にいるのにね 俺は人を幸せにしたいんだ そのために生きてる …

第82問 憎しみはない

少し前に友達と電話で話した時に、その子の友達もまたとある試験にむけて勉強を頑張っているという話を聴いた。どうやらその友達は家庭環境に難があって、そういう逆境を憎しみの力で跳ね飛ばしてきたんだそうだ。 その子から見て、私がどのように見えている…

第81問 仕方なく一人だから

ここのところ、朝の早い時間に不思議と目が覚める。日差しが部屋に差してくるのと同じぐらいの時間に体が起きる。起きたときの体の調子は様々で、いいときもあれば疲れているときもある。そういう最近の習慣に多かれ少なかれ精神的に満足している自分がいる。…

第80問 Selfish&Unselfish

自分の親友のブログを読んで、なんだか自分は軽薄な人間になったような気がして、自然となにかを書きたくなった。 それは自分が軽薄ではないはずだという意地なのか、はたまた恐怖感から出る自分の確認作業なのか。わからないが、自分の泉から溢れ出るこの何…

第79問 我々と現実

一人間として、昨今の日本社会でおこっていることはなんだろうと考えてみると、それは現実的なものや目に見えるものへの偏った趣向、すなわち現実偏重の様相である。 ひとびとは働く上では、金銭的なものや人々からの評価といったような、自分による主体的な…

第78問 久保田利伸インタビューの備忘録

久保田利伸 デビュー30周年を迎えて思う、音楽と表現のこだわり https://spice.eplus.jp/articles/89332/amp ――日本の音楽シーンはいい意味でも悪い意味でも“流行”に敏感で、みんな右へ倣え的な動きをしていく中で、久保田さんはこれまでそういう動きとは全…

第77問 俺に残るものは

深淵から生み出されるもの 又吉直樹 X 宇多田ヒカル 又吉 なにかの現象について語ることはできるけど、実際には、どの現象を起こせていないということをよく感じていて。いろんな表現についてただの説明でしかないと思うことがある。でも、映像の中で宇多田…

第76問 愛の轍

一 一度抱いた感情というのは、時が経っても消えることはない。 愛惜という言葉はどうしてこの程までに真実味と美しさを持つのだろう。 切愛の限りを尽くして、生きる。 突然になんの脈略もなく再び出会ってしまうと、あけすけな自分が現れるようで気恥ずか…

第75問 深く潜って

一 海を深く潜るとき、人はどのように海を泳ぐのだろう 海を泳ぐには、ふたつの方法がある ひとつは、ずっと距離を遠く泳いでいく方法 もうひとつは、下に深く深く泳いでいく方法 地面の上に立っていては自分の力だけでは上に飛んでいくことはできないけれど…

第74問 変わった覚え

不思議なのが久しぶりに合う人々との時間が、ことごとくいい時間にならない。 別に自分はそんな変わったつもりはなくても、自分が経験してきたことを話すと、それがまるで私がすっかり変わってしまったかのように思うらしい。 自分の話し方も悪いのだろう。 …

第73問 悲しき病

なぜ僕らはここにいるんだろうか。 白いシーツに枝垂れる黒い髪は、いつのまにか伸びていて、美しさは引き立っている。 白く汗ばんだ肌は、なまじか生々しく現実感を漂わす。 抱きしめることさえ苦しいし、悲しくて、寂しくて、人肌の温もりなんてものは夢だ…

第72問 20190713 祖父の死

これはもともとは自分の手帳に書き記したもので、誰かに見せようと思って精巧したものでもなんでもない。 ここへその文章を残すことが、何かしら、小さな救いのようなものを求めるのか、それとも手帳に埃がかぶる未来が寂しいからなのか自分自身も皆目見当が…

第71問 372

久しぶりに抱きしめた 私たちは腐れ縁だからって 会えないと思ってたって言ったら、絶対会えると思ってたって 優しいから心を許すんだ 髪こんな綺麗だったっけ、なんて 自信にあふれてるのは相変わらずだ 片耳だけ揺れるピアスが君らしい 一緒にいればいるほ…

第70問 Do U Wrong

Leven Kali - Do U Wrong ft. Syd

第69問 オレンジの日

今日は、ぐるぐると皇居の周りを歩き回るような一日だった。 都会の美しい夕日が差し込んで、大手町のみなもがオレンジ色に輝いていた。 隣りにいる人にふと「母の日に、何がほしいだろうかな」と聞いたら、「手紙なんかいいんじゃないの」と言われた。なる…

第68問 巡る

例え話には、人の心の美性を感じさせる独特なものがあります。 年の瀬になると多くの人に会いますが、馴染みの深い人たちとの掛け合いの中で溢れる例え話は、一興です。楽しくてたくさんたくさん話しますが、残してくれた例え話が一番僕の脳裏に焼き付きます…

第67問 脱ぐ

Breakthroughの適切な訳語は何に当たるのだろうか。ふと考えてみたけど、最近しっくりくるのは「脱皮」だ。 今に至るまで何回の脱皮をしてきたか、って言われると頭の中でもわもわと振り返るストーリーが出てくるかもしれない。 未来のことを最近はよく考え…

第66問 寒空が近づいて

どれだけ耳の中を好きな音楽でかき回そうが、どうしても蓋の隙間から入り込んでくるようである。 別に意識的に考えないようにしていても、寒さは無意識に刺さるようにやってくる。 冷たくなった指をこすると、長くなった爪が瞳に反射する。 ペットボトルの蓋…

第65問 感じて

当たり前で、言ったら興ざめなことはある。 でも言いたくなったしまう。そんなことはここに書いてしまう。 自分の周りの人には少しもう話したことがある気がしているんだけど、みんなで話しているときに話すことって全員に向けて話すことはもちろんあるんだ…

第64問 じゃないじゃない

日本に来てから刺激不足がひどい。今の自分にはこの物足りない気持ちを文章にぶつけることしかできない。 自分の今までの生き方は「じゃない」だった。 自分の目の中に入ったいやで嫌いなものにならないように、そうならないように必死でまるで逃げるかのよ…

第63問 質実剛健に

インドから帰ってきて、自分が強く感じているのは、脳みそをフルに使うことができていないということだ。 脳みその一部しか使えていないからずっともやもやしてる。 もっと脳みそを使いたい。勉強をしたい。自分の中にものを積み上げていきたい。 自分みたい…

第62問 悲しみを食べて

悲しみを食らう生き物だああ お前のつらそうな顔を思い出す ずっとお前はそこにいたのか 俺はとっくにそのトンネルを抜けたとおもうああいう脂汗はもうかかなくなったんだよああいうふうに心は震えなくなったんだよお前はまだその中にいたのか 悲しみを食う…

第61問 螺旋の階段

私は夢みていた。 どうやらそこはすごく白い階段で、とても多くの人がぞろぞろと登っていた。本当は最初エレベーターで上まで行こうと思っていたのに、なぜかどうしてもエレベーターじゃ行けなくて、仕方なく階段を使うことにしたのだった。 階段は普通なよ…

第60問 雪 

雪の夜の色は黄色い。月の光がすっかり反射して、一色の世界を染めてしまう。地面が白で覆われる。全部が上塗りされて、色と線でごまかされた世界はすっかり身ぐるみ剥がされる。こんなにこの道は広かったんだなあ、と。雪の降る速さは遅い。照明に照らされ…