第73問 悲しき病

なぜ僕らはここにいるんだろうか。 白いシーツに枝垂れる黒い髪は、いつのまにか伸びていて、美しさは引き立っている。 白く汗ばんだ肌は、なまじか生々しく現実感を漂わす。 抱きしめることさえ苦しいし、悲しくて、寂しくて、人肌の温もりなんてものは夢だ…

第72問 20190713 祖父の死

これはもともとは自分の手帳に書き記したもので、誰かに見せようと思って精巧したものでもなんでもない。 ここへその文章を残すことが、何かしら、小さな救いのようなものを求めるのか、それとも手帳に埃がかぶる未来が寂しいからなのか自分自身も皆目見当が…

第70問 Do U Wrong

Leven Kali - Do U Wrong ft. Syd

第69問 オレンジの日

今日は、ぐるぐると皇居の周りを歩き回るような一日だった。 都会の美しい夕日が差し込んで、大手町のみなもがオレンジ色に輝いていた。 隣りにいる人にふと「母の日に、何がほしいだろうかな」と聞いたら、「手紙なんかいいんじゃないの」と言われた。なる…

第68問 巡る

例え話には、人の心の美性を感じさせる独特なものがあります。 年の瀬になると多くの人に会いますが、馴染みの深い人たちとの掛け合いの中で溢れる例え話は、一興です。楽しくてたくさんたくさん話しますが、残してくれた例え話が一番僕の脳裏に焼き付きます…

第67問 脱ぐ

Breakthroughの適切な訳語は何に当たるのだろうか。ふと考えてみたけど、最近しっくりくるのは「脱皮」だ。 今に至るまで何回の脱皮をしてきたか、って言われると頭の中でもわもわと振り返るストーリーが出てくるかもしれない。 未来のことを最近はよく考え…

第66問 寒空が近づいて

どれだけ耳の中を好きな音楽でかき回そうが、どうしても蓋の隙間から入り込んでくるようである。 別に意識的に考えないようにしていても、寒さは無意識に刺さるようにやってくる。 冷たくなった指をこすると、長くなった爪が瞳に反射する。 ペットボトルの蓋…

第65問 感じて

当たり前で、言ったら興ざめなことはある。 でも言いたくなったしまう。そんなことはここに書いてしまう。 自分の周りの人には少しもう話したことがある気がしているんだけど、みんなで話しているときに話すことって全員に向けて話すことはもちろんあるんだ…

第64問 じゃないじゃない

日本に来てから刺激不足がひどい。今の自分にはこの物足りない気持ちを文章にぶつけることしかできない。 自分の今までの生き方は「じゃない」だった。 自分の目の中に入ったいやで嫌いなものにならないように、そうならないように必死でまるで逃げるかのよ…

第63問 質実剛健に

インドから帰ってきて、自分が強く感じているのは、脳みそをフルに使うことができていないということだ。 脳みその一部しか使えていないからずっともやもやしてる。 もっと脳みそを使いたい。勉強をしたい。自分の中にものを積み上げていきたい。 自分みたい…

第62問 悲しみを食べて

悲しみを食らう生き物だああ お前のつらそうな顔を思い出す ずっとお前はそこにいたのか 俺はとっくにそのトンネルを抜けたとおもうああいう脂汗はもうかかなくなったんだよああいうふうに心は震えなくなったんだよお前はまだその中にいたのか 悲しみを食う…

第61問 螺旋の階段

私は夢みていた。 どうやらそこはすごく白い階段で、とても多くの人がぞろぞろと登っていた。本当は最初エレベーターで上まで行こうと思っていたのに、なぜかどうしてもエレベーターじゃ行けなくて、仕方なく階段を使うことにしたのだった。 階段は普通なよ…

第60問 雪 

雪の夜の色は黄色い。月の光がすっかり反射して、一色の世界を染めてしまう。地面が白で覆われる。全部が上塗りされて、色と線でごまかされた世界はすっかり身ぐるみ剥がされる。こんなにこの道は広かったんだなあ、と。雪の降る速さは遅い。照明に照らされ…

第59問 半生を共に

実はここ何日かの間に悲しい別れがあった。 それが訪れてから私はずっと平気な気がしていた。正確に言えば、あまりにそれが唐突で、脳がその現実を受け入れられていなかったのであろう。何かが麻痺したように、漠然と時間が私の耳の横を流れていたのだと思う…

第58問 血

人間は何でできているのかと考えてみると、特に思いつくのは、血と骨と肉だと思う。 怪我をするとき、とりわけ私たちはこのことをよく感じる。普段肌に隠された血や肉や骨が痛み、自分の眼の前に現れるのだ。先日友達と話した時、自傷行動について語ることが…

第57問 肌と嘘

私は法学徒としていくつか法学の基礎たる理論の部分に対して違和感を持っている。最近ホッブズを読むけれど、ホッブズからロックを経てルソーに至る流れの中で一つの基調となるのは、いわゆる「社会契約論」というやつで私はこいつがどうしても1年2年前ぐら…

第56問 人を愛するということ

色々なことを見聞きしたので、すこし書こうかなと思った。あの人に読んでほしいけれど、今は無理そうか。 人を愛するというのは、どういうことなんだろうか。それは愛し合うということではない。あくまで自己本位な問題として捉えたい。 自分のことを深く理…

第55問 言葉が流れない

最近のとある政治家のニュース。 ICレコーダーが使われたそうだ。 SNSでの発言も今じゃスクリーンショットに保存されるし、消さないと消えない。 どこかにずっと残ってしまう。 これは写真が我々の目に焼き付いた光景と違うものを見せてくるように、我々の脳…

第54問 お前が嫌いだよ

人間にとって大切なものの優劣を考えてみると、一つの区分として人とものとことの三つに大別することができる。 今回はその「こと」に密着して物事を考えたい。 なぜこんなことをいきなり書き始めたかというと、今あるアイドルの結婚発表が物議を醸している…

第53問 過渡期

今の私ははっきり言って過渡期だ。爆発的に自分の中の何かが変わろうとしているのを感じる。獰猛な何かが蠢いている。人間に対する拒絶感がバカになっている感じである。器の口を無理やり広げられている。色んなものが自分の体の中に入り込んでくる。漠然と…

第52問 個別具体への諦念

大学生活が始まり、殊更に感じるのは人間というのは多様であるように見えるということだ。本当に千差万別というのは文字通りで、真実なように感じられる。ただ高校時代の彼や彼らが時に昔の面影を残し、時に踏み潰すのをこの目で耳で感じる時、その多様性と…

第51問 旅を終えて

一人旅を終えた。長いようで本当にあっという間だった。分かったことがある。それはある程度自分は成長してきているということである。幹が確実に太くなったのだという実感がした。浪人という一年がくれた、私へのプレゼントだろう。漫然に、何となくに、じ…

終わったら読みたい本

谷崎潤一郎 春琴抄島崎藤村 夜明け前安部公房 砂の女三島由紀夫 豊饒の海夏目漱石 明暗志賀直哉 暗夜行路二葉亭四迷 浮雲坪内逍遥 小説真髄谷崎潤一郎 細雪武田泰淳 富士中上健次 枯木灘大江健三郎 レインツリーを聴く女たちドストエフスキー 罪と罰マーガレ…

第50問 鶏と卵

有名な話。鶏とその卵はいったいどちらが先なのかという命題であるが、似たような話。12月は1月の前なのか。それとも11月の後なのか。これはとても難しい問題である。いや最近ひたすらに思うのは、自分は何者なのかということである。本名によって定義されて…

第49問 共感

最近思った、個人間で一番大切なものである。音楽も文芸もメールも会話もラインも授業も、共感はかけがえなく大切かもしれない。共感できればできるほど、その人はいつの間にか大切になってるし、できなければできないほどいつの間にか距離ができてしまう。…

第48問 ノルウェイの森

3ヶ月前ぐらいに書いた書評を捨てたいのでここに書いておく。 ノルウェイの森は現代的な小説として我々にとらえられ、村上春樹は現代的な作家として語られてきた。今日ノルウェイの森を読んだ私には確かに村上春樹の現代性をかんじられた。もしくは、近代性…

第47問 分かりやすい自己紹介

自己紹介は初対面の人と会った時に、自分が何者なのかを相手に簡潔にわかってもらうためにするものだ。でも、それは大概名前を言ったり、出身の学校を言ったりするだけで終わってしまう。もっとも分かりやすい自己紹介とはなんなのだろうか。 一つには、好き…

第46問 流行り

蚊帳の外から人間を客観視することが最近正しいこととして人々に受け入られていることに、私は素直に違和感を持つ。確かに学問をする上では必要不可欠なものの見方だけれど、それを日常生活の対人関係に持ち込むのは温かみに欠けてしまう。テレビのコメンテ…

第45問 閑話休題

オフレコの話。フェイスブックの私の投稿のコメント欄は簡単に言って、サンドバックだ。基本的にみんなが言いたいことを書いていく場所のような気がする。加えて名前が出ているから、こっちもブログで書くほど威勢のいいことが言えない。どれもこれもありが…

第44問 病院

今日私は病院にいた。特に自分の用ではなくて、人の見舞いに行った。病院というところは、健全な人間には本当に悪い意味で刺激的である。早く帰りたくなるようなそういう空間だ。若い人の経験とかそういうものに置換されるような場所とは違って、そうでない…