第38問 保守化

日本を含む世界は、今日ますます保守化へと歩みを進めている。

旧来的な政治哲学の限界が訪れているように感じる。エリートの感覚と中産階級の感覚とがずれ、エリートの政治哲学は無力となり、国家に「経営」の理念が浸透しようとしている。平和を尊重しようとする元首はその理念の尊大さは正しい評価を受けず、成果の有無で裁かれようとしている。

ヒロシマを訪れる」ことがどれほど素晴らしいことだったのか、もし再び戦争が我々の元を襲った場合我々は痛感することになるだろう。

別にいまのあり方が戦争につながるとか、そういうことを言いたいわけじゃない。ただ、人間として理性的に現代を噛み締め、ポスト現代を見据える必要がある。自分のことしか考えなくなる現代において、極めて人間らしい出来事としてヒロシマ訪問はあった。

我々は因果で現在の混沌を語ろうとするが、もはやその因は多元的過ぎて完全な判明は到底かなわないだろう。判明できた場合でも、その責任は何かに押し付けることは出来ないだろう。だから我々は我々を治める上の力に反発し、協調から退くのだろう。

本当に我々にグローバリズムは相応しいのか。グローバリズムに耐えられるほどの知能が我々にあるのか。

その答えが否だから、今こうなってしまっているのだろう。