第51問 旅を終えて

一人旅を終えた。長いようで本当にあっという間だった。

分かったことがある。それはある程度自分は成長してきているということである。幹が確実に太くなったのだという実感がした。浪人という一年がくれた、私へのプレゼントだろう。

漫然に、何となくに、じゃなくて本源的に感じた。

ゲストハウスに訪れて、色々な人と知り合い、話した。町に親しみ、巡り歩き、たくさんのものを食べた。

旅人という身分はいいもんで、どこへ行っても歓迎される。幸せだった。

東京は改めて冷めているなあと思った。都心は物が、者が集まる。これは奢りに繋がってしまうのだろう。至上の感覚というか。ないモノがない、という誤った感覚が脳みそにこびりついているんだと感じる。

旅先の人々はとても謙虚だった。有り様をそのままに受け入れ、知らないことは知らない有様だった。振る舞いには純粋さが溢れ、それは言葉を通じて、笑顔を通じて、目を通じて、私のような旅人を受け入れた。

深呼吸が奥まで出来る、といって分かるだろうか。空気の汚さがひっかからない感じなのだ。ありきたりのようだ。夜の街中に溢れていたおじさんたちの陽気な笑顔と笑い声は、本当に幸せだった。大人をもう一度信じられるかもしれない、そう思えた。東京の下を向いた、早歩きの大人は可哀想だ。あまりに可哀想だ。

旅の終わりは寂しさで溢れる。でも何故かまた旅はやってくるという喜びは、私の背中をトンと軽く押してくれた気がする。

私の旅と交わった人々、私に旅を教えてくれた人々に心から感謝しています。