第54問 お前が嫌いだよ

人間にとって大切なものの優劣を考えてみると、一つの区分として人とものとことの三つに大別することができる。
今回はその「こと」に密着して物事を考えたい。
なぜこんなことをいきなり書き始めたかというと、今あるアイドルの結婚発表が物議を醸しているからだ。だから実は今回話したいことはつまるところ女の人生だ。
最近はよく女というものをよく考えている。私は男だから決して女になることはできない。これは本当に興味深いもので、ある意味同じ人間であったとしても女は男とはやはり全く別の生き物でありうるということなのだ。
近年の男女平等を叫ぶ声は、簡単に言えば「男と女は同じ人間なんだから同じものが与えられるべきで、男の優位性はあくまで慣習的なものであり無根拠だ」という立場/言明が貫徹されている。私は自分の性別を抜きにして、この言明は全く正しいものだと思う。
しかしながら実際にこの言明が論理性を保つかと言えばそれは完全にそうであるとはいうことはできない。なぜなら、男女の差異は生物学的に物理的に存在するし、男女平等を理想として教育されてきたものにしかその世界は美しく思えないからだ。
感覚の断絶として、女性の中の内在的な問題がある。つまりひとえに女性を論じたところで、女性の中には男性に付き添って生きていくことを理想にしている人はたくさんいるということだ。こういう女性は私の経験則から言えば、地方で育った人や学歴的に低い人徒たちが保つ傾向ある。これは大きな問題をはらんでいて、女性のうちで学歴のある女性は何かしら、そうした女性たちを見下す傾向にある。イメージで言えば、”unenlighted"みたいなものだろうか。女性の中である種カースト的なものを作り上げ、一義的に立ち遅れていると考えているような匂いがするのだ。
きっとおそらく当の本人たちに突き詰めるとこの考えは決して認められず、むしろそういうことを思いつく私自身の人間性批判へと転化されてしまう。だからこそこうした形で書くのだけれど、私は自分のそうした醜い考え方へのセンサーは間違っているとは思えないし、直感的に感じる論理の不自然さや脆弱性は隠すことはできない。
 
さてさて本題に戻ると、お金をつぎ込んでくれていたファンの前で結婚を発表したアイドルさん。これがボコボコにネットで叩かれている。
女性の生き様。これは本当に語っても語り尽くすことはなくて、上で述べるだけでもまだまだまだまだ足りない深遠さを持っている。だから一側面からの批判や批評は本当に切り取れる世界が狭いということを肝に命じたい。
でも深遠だからこそ、一つわかるのは、それは自由でいいということじゃないだろうか。
アイドルという職業、特に彼女のいたところでは恋愛は認められていない、というのはあったかもしれない。
でも、実際に、冷静に考えてみて、そういうのはおかしいし、本当は看板に過ぎないということは手に取るようになわからないだろうか。
嘘を嘘だと思って楽しむ余裕というか、創作物、あくまで「偶像」に過ぎないアイドルへの理解が、欠けてしまうのはとても残念だ。高校生が、応援していたアイドルが結婚してしまうことに落胆する気持ちはわかるし、裏切られたとなるのも話わからなくもない。
でも世論全体が、年齢的な部分を超えてそういう風になってしまうのはどうにも目が当てられない。
彼女のどんな生き方も、彼女が選択したのだから認めてあげよう、そうなって欲しかった。
電車で漫画を読む大人、ゲームが好きな大人は昨今たくさんいるけれど、それは多様性があっていいな、と思いつつ、結局そういう多様性によっかかったまま成長しない人が中には出てきてしまう。成長って何?と突っ込まれたら何も言えないけれど、せめていうなら、成長した人、成長してる人にしかわからないものということになるのかもしれない。
多様性、私はお前が好きだけど、たまに本当にお前のことが嫌いになるよ。お前は都合が良すぎる。