第61問 螺旋の階段

私は夢みていた。

どうやらそこはすごく白い階段で、とても多くの人がぞろぞろと登っていた。本当は最初エレベーターで上まで行こうと思っていたのに、なぜかどうしてもエレベーターじゃ行けなくて、仕方なく階段を使うことにしたのだった。

階段は普通なようなものじゃなくて、光が上から差し込むような螺旋階段だった。人が登っていることが登っている間にわかるような、そんな感じの。

みんなみんな喋りながら歩いていた。とても小さい子が多かったように思う。賑やかさは子供達の賑やかさだったのかもしれぬ。でも老人も沢山いて、老人同士も楽しそうに話して、見た目だけでは本当に心の紐を解いたような感じだった。

その中で僕は1人歩いていて、でもそれになんの悲しさも寂しさも感じなくて、むしろそういうところに包まれてる安心を得ていた。

1人の女性を見つけた。いつものように美しく長い髪で、白い花柄のワンピースを着ていた。その人も1人だった。

私たちは多分お互いのことを視認していて、もしくは見ずにでもなんとなくお互いがそこにいることを感じていた。でもなんとなく声をかけなくて、どこか他人行儀をしていた。でも何か話したかった。

階段を登る前にはなかった手荷物がなぜか階段を登る中で増えていった。白い綿みたいなものが入った袋と、色とりどりの紙を拾った。ゴミを拾うような気持ちで、手にとり、袋の中にまとめた。

階段を上がりきると少し広めの広場で、そこも白かった。遠くにはあの女の人がいて、今度は私しか気づいてないような感じだった。いつの間にか自分の隣にはおばあちゃんがいて、なにかしゃべっていた。でも私はその女の人が気になって、おばあちゃんの話はうわの空でいた。右隣には母親がいたような気がする。おばあちゃんと母親は僕を挟んで座っていたはずだったけれど、私の背の後ろで2人の影はなぜか重なっていて、すごくもやもやした気持ちになったけれど、まあいいかと思って気にしなかった。

 

目を覚まして、夢はこんなものかとどこか安心したようで、でもすこしもの寂しい気持ちになった。

朝は寒かった。