第68問 巡る

例え話には、人の心の美性を感じさせる独特なものがあります。

年の瀬になると多くの人に会いますが、馴染みの深い人たちとの掛け合いの中で溢れる例え話は、一興です。
楽しくてたくさんたくさん話しますが、残してくれた例え話が一番僕の脳裏に焼き付きます。


ホットチョコレートカップは人のようであり、海は嘘を見抜く人のようであり、蠟燭は愛のようであるのです。


とりわけ20歳の自分に焼きついたのは、関係性が糸のようであるという例えです。
人と人とが出会えば、その間の糸は太くなったり細くなったりする。でもその糸は切れることなんてないんだ、と。


行き過ぎたロマンティシズムは、時に人に突き放されてしまうけれど、乾杯されたグラスと寒い夜更けの前ではそのようなことはあまりないのです。


自分の側にいてくれている人の心の美しさに、再び心奪われる歳の暮れでした。