なぜ僕らはここにいるんだろうか。
白いシーツに枝垂れる黒い髪は、いつのまにか伸びていて、美しさは引き立っている。
白く汗ばんだ肌は、なまじか生々しく現実感を漂わす。
抱きしめることさえ苦しいし、悲しくて、寂しくて、人肌の温もりなんてものは夢だった。
自分が悪かった。
見せてはいけない世界を見せて、いざなった。男ととして隠さなきゃいけないものを見せた俺が、君の美しさを壊した。
背中に涙が流れた。
今最近ふと思い出す、苦しみではもうないけれど、瞑った目をよぎる。
本当は最初からそういう目だったのかもしれない、僕を見る目はなんら変わっていなかったし、その目に籠る意味に気づいていなかっただけかもしれない。
その瞳にはどんな意味があるの。昔の君に聞くよ。
「俺らは一体どういう関係なの」
僕には口にできない言葉だった。浅はかすぎた。僕が使うには安すぎた。
人間とは難しい。
好きだったけど、愛していたわけじゃないんだ。
あの好きだった頃に戻りたい。また会いたい。それだけなんだ。
女に求められる度に思い出す。
あのセックスがもっと美しければ。