一
海を深く潜るとき、人はどのように海を泳ぐのだろう
海を泳ぐには、ふたつの方法がある
ひとつは、ずっと距離を遠く泳いでいく方法
もうひとつは、下に深く深く泳いでいく方法
地面の上に立っていては自分の力だけでは上に飛んでいくことはできないけれど、海にいれば下へ下へ泳いでいける
横に遠くに泳ぐのに泳ぎ疲れると、人はどうやら下へ下へ深く潜っていきたくなるのかもしれない
横に泳いでいて見える景色は、実は泳いで泳いでやっと見えてくる程度で、実際には遠くに見える岩肌がくっきり見えたり、下に海が続いていることに気づくぐらいのものかもしれない