心のある場所としてよく心臓の場所が持ち出される。心は心臓のようにハート型で描かれ、赤い色で塗りつぶされる。
心臓。私はこの言葉だけで切ない気持ちになる。赤い心臓。
赤は様々な感情を表す。怒り、愛、嫉妬。その色を思い、手を心臓に当てる。脈を感じる。狂おしい。
これは自己愛なのだろうか。いや違う。脈を打ち、血液を体全体に送り、私を生かすこの心臓。どうして気持ちが、心がここにあるのだと思うのだろう。
手のぬくもりは血を通って、心臓へ伝わる。
裏切りは私の血を凍らせ、脈をうつ心臓を止める。
心臓は愛おしい。赤い色。私が生きる色。
心臓は強い。赤い血。私を生かす色。
私が眠る時も動き続ける。だから私は生きる。私は眠る。
私が起きる時も動き続ける。だから私は人を目に収める。自分を感じる。脈。
言葉にできない気持ちを心臓は温めてくれる。言葉にしなくともよくしてくれる。言葉にしないからこそ大切な気持ち。血に淀む。透き通る。
言葉にしてはならない言葉をそうしてしまう時、私は心臓を裏切った気持ちになる。
心臓の鼓動は私の内にしか響かない。
寂しい。苦しい。
自分が生きていることを再び感じるのである。
寝よう。忘れられるかもしれない。