2018-01-01から1年間の記事一覧

第68問 巡る

例え話には、人の心の美性を感じさせる独特なものがあります。 年の瀬になると多くの人に会いますが、馴染みの深い人たちとの掛け合いの中で溢れる例え話は、一興です。楽しくてたくさんたくさん話しますが、残してくれた例え話が一番僕の脳裏に焼き付きます…

第67問 脱ぐ

Breakthroughの適切な訳語は何に当たるのだろうか。ふと考えてみたけど、最近しっくりくるのは「脱皮」だ。 今に至るまで何回の脱皮をしてきたか、って言われると頭の中でもわもわと振り返るストーリーが出てくるかもしれない。 未来のことを最近はよく考え…

第66問 寒空が近づいて

どれだけ耳の中を好きな音楽でかき回そうが、どうしても蓋の隙間から入り込んでくるようである。 別に意識的に考えないようにしていても、寒さは無意識に刺さるようにやってくる。 冷たくなった指をこすると、長くなった爪が瞳に反射する。 ペットボトルの蓋…

第65問 感じて

当たり前で、言ったら興ざめなことはある。 でも言いたくなったしまう。そんなことはここに書いてしまう。 自分の周りの人には少しもう話したことがある気がしているんだけど、みんなで話しているときに話すことって全員に向けて話すことはもちろんあるんだ…

第64問 じゃないじゃない

日本に来てから刺激不足がひどい。今の自分にはこの物足りない気持ちを文章にぶつけることしかできない。 自分の今までの生き方は「じゃない」だった。 自分の目の中に入ったいやで嫌いなものにならないように、そうならないように必死でまるで逃げるかのよ…

第63問 質実剛健に

インドから帰ってきて、自分が強く感じているのは、脳みそをフルに使うことができていないということだ。 脳みその一部しか使えていないからずっともやもやしてる。 もっと脳みそを使いたい。勉強をしたい。自分の中にものを積み上げていきたい。 自分みたい…

第62問 悲しみを食べて

悲しみを食らう生き物だああ お前のつらそうな顔を思い出す ずっとお前はそこにいたのか 俺はとっくにそのトンネルを抜けたとおもうああいう脂汗はもうかかなくなったんだよああいうふうに心は震えなくなったんだよお前はまだその中にいたのか 悲しみを食う…

第61問 螺旋の階段

私は夢みていた。 どうやらそこはすごく白い階段で、とても多くの人がぞろぞろと登っていた。本当は最初エレベーターで上まで行こうと思っていたのに、なぜかどうしてもエレベーターじゃ行けなくて、仕方なく階段を使うことにしたのだった。 階段は普通なよ…

第60問 雪 

雪の夜の色は黄色い。月の光がすっかり反射して、一色の世界を染めてしまう。地面が白で覆われる。全部が上塗りされて、色と線でごまかされた世界はすっかり身ぐるみ剥がされる。こんなにこの道は広かったんだなあ、と。雪の降る速さは遅い。照明に照らされ…