雪の夜の色は黄色い。
月の光がすっかり反射して、一色の世界を染めてしまう。
地面が白で覆われる。
全部が上塗りされて、色と線でごまかされた世界はすっかり身ぐるみ剥がされる。
こんなにこの道は広かったんだなあ、と。
雪の降る速さは遅い。
照明に照らされる雪をみると、雨より少し遅めで降っている。
足が積もる雪に取られないように、一歩一歩あるく。
いつもより時間がゆっくりと流れる。
車も人も深い雪の前には、みんな隠れてしまう。
話し声も、走る音もなくなって、雪を踏む音だけが聞こえる。
部屋に閉じ込められたような、そんな気がする。
家に早く帰りたい気持ち。まだ帰りたくない気持ち。
厚い雪を避ける気持ち。厚い雪を踏みたい気持ち。
まっすぐ帰りたい。寄り道したい。
そんな夜。