第153問 新章

今、僕は広尾にある広い公園のベンチで涼をとっている。

暑さがここ数日ひと段落してきて一気に過ごしやすくなったので、休日はよく歩き回っている。

さっきまで一緒に東北を回った友達と一緒にいた。彼は数日後にスペインへ飛ぶ。

新しい挑戦をする彼とはいつも通りの日を過ごした。

友達と気楽に飲みに行ける日はこうやって少なくなってしまうんだなと、今一人になって寂しく思う。

昔親も言ってた。

友達とはだんだんと会えなくなっちゃうものなのよ、と。

会おうと思えば会えるじゃないか、なんて言われた当時は思ったけれど、結構正しいようだ。

 

私の人生も新章へ突入しようとしている。

事務所から内定をもらい、ある種不安要素は試験に限られることになった。

この夏は外資系事務所を周遊していて、知られていないし語られない業界を深く知った。

英語で仕事ができなくてはいけないことを改めて思い知ったし、この日本の行き詰まりを丁寧に感じている。

一つの目標としてアメリカで働きたいと強く思うようになった。

30代をアメリカに賭けてみてもいいかもしれないと思うようになった。

そういう道をどうにかして切り拓きたいとここ数日は強く思っている。

 

面白そうだと思う方に行くのが楽しいのだ。

自分は多分同じところに長々ととどまるタイプではなく、いろんなところを見て回るのが好きで、人生もそうやって生きるのが楽しいと思う。

 

安定とか手堅さを志向し始めると周りに詰まらない人間が溜まってきて、人生がつまらなくなる。

手堅さは大事だが程々のお付き合いにして、挑戦と成功と失敗につつまれる人生を歩みたい。

 

言葉で取り繕って怯えていないようにしても意味がないし、一貫性のない行為も人生を虚しくするだけだ。

自分の変化の訪れを楽しみながら、変わらない自分を温めて生きたい。

 

私は誰の人生も正当化しないし、誰かが歩いた道もあまり歩くつもりはないんだ。