第117問 はじめての話

院の成績開示を受けて、とあるひとつの科目が全く想定と真逆の評価で、しばらく落ち込む日が続いていた。

◯大事務所に就職するためには、ロースクールのGPAは3.5は必要であるらしいが、その科目のせいで厳しい状態になってしまった。

「しまった」とは書いても、自分自身が◯大事務所に行きたいという気持ちがあるのかすらはっきりわからない。正直、業界内で一定程度高い評価を得られるから行っておくに越したことはない、ぐらいの気持ちがあるというのが正確なところで、そこに行ってなにか成し遂げたいとかそういった気持ちは正直全くと言っていいほどない。

もしそこに手が届かないとして、すっぱい葡萄になるのが嫌だ、ぐらいの感覚のほうが強いのかもしれない。手に入らないものを否定的に評価するのは、自分が自分で気持ち悪くて嫌になってしまう、そういう感覚である。

そんな話を友達とドライブをしながらした。

 

単純に身の回りにいる人達がすごすぎることで感じるプレッシャーは実際のところ一定程度というか、かなりあるのだろう。

友だちと話す中ではっきり見えたのは、そういうある意味で敵わない人たちに囲まれていることで、自分のいいところと普通なところとだめなところについて、はっきりと輪郭を感じることができているというところにある。

今夏は弁護士事務所だけではなく、とある省庁にインターンに行ったが、そこで出会った官僚に、「〇〇さんは、とても人当たりがいい」と言われた。自分の能力的な部分についてもある程度評価をもらえたようだ。

この時間は非常に自分に輪郭を感じさせてくれるものだった。

 

自分の幸せを追求できるのは自分だけだな、と頭を整理するとはっきり見えてくるものだ。