第157問 伝わって

私は、昨日は昔ながらの、考えようによっては9年、僕らにしっくり来るのは8年、ずっとなんだかんだ一緒に仲良くしている友達と一緒に、私の内定祝いにいった。

 

カジュアルな回らないお寿司という感じで、奢られる申し訳無さもほどほどで、でも味はかなりいいお寿司を食べた。

私は黒ビールと生ビールのハーフ&ハーフを頼んだ。家では作りづらいからだ。

彼は黒ビールで始めたけれど、「それいいな」と二杯目で僕がレモンサワーを頼んだタイミングで、同じものを頼んでいた。

 

変わらない毎日の中でこうやって誰かと一緒に過ごす日がやってきてくれていることがただただ嬉しい。

私にしても、彼にしても、細かいスパンで色々とあるタイプの面白い人間だ。

 

つい先月会ったばかりでも、また色々とお互い話すことがあって、とっても楽しかった。

 

彼の大好きだった彼女の話を僕らはしていた。

2年ぐらい付き合って、彼らは別れた。

彼のことが大好きすぎるその子は、たびたび他の人と遊んでいた彼を信じられなくなってしまって、心も不安定になってしまったのだった。

そこから彼のことを無理に突き放す彼女と、混乱する彼女のそばにいたい彼は、ぎこちなく心が張り裂けながら、すれ違いを深めていった。

 

1年前くらいだろうか...

彼にしては珍しく、僕に彼女を紹介してくれて、「ああ本当に彼はこの子のことが好きなんだな」と思った。

 

大好きだなと思ったその子が、深く受け入れて、心の中に迎い入れたその子が、強がって投げかける言葉や、乱れて突き刺す冷たい目が、彼の心を苦しめた。

本当は一緒にいたいのに、一緒にいられない悲しさで彼の胸はいっぱいだった。

 

 

彼の家で、彼とその彼女がたくさん映った彼女が彼にプレゼントしたアルバムを見た。

私ははじめて、人の恋愛の話を聞いて泣いた。

幸せそうに微笑む二人の写真が本当に美しくて、でももう戻ってこない時間なのかと思うとすごく悲しくなった。

 

二人で彼の部屋で泣くだけで、僕は彼のためになにかできたような気もしたし、なにもできてないなとも思った。

 

 

僕はなんとなくまた自分の過去を思い出している。

なんであの子と一緒になれなかったのか、なぜああなってしまったのか...

僕もまた、そういう思い出に悲しくなる人間の一人だったから。